去る7月16日、唐津市呼子町小友まで、とある祭りを見に行ってきました。3年ぶりの開催となった「小友祇園祭」です。小友地区に鎮座する八坂神社の夏祭りで、万時元年(1658年)に始まり300年以上の歴史があるそうです。疫病退散・五穀豊穣・大漁を祈って、鐘と太鼓の音と”あーさっさぁい!”の掛け声とともに、豪華絢爛な山笠が練り歩きます。祭りのクライマックスでは、男衆が担ぐ山笠が海を渡ります。全国的にも非常に珍しい光景です。
山笠の高さはおよそ15メートル、重さはおよそ3トン。ビックリしたのは、他の山笠と違って車輪がないことでした。純粋に人の力で持ち上げ練り歩いているのです。前後に山笠を揺らして、その反動で持ち上げていて、これには驚きでした。佐賀県内の祭りもいくつか見てきましたが、車輪がない山笠は初めてです。
ところで、私と”佐賀の祭り”との出会いは、大学に勤めていた頃に遡ります。佐賀県各地では、浮立を中心として、様々な祭り(伝承芸能)が受け継がれています。それらの祭りを映像として収録し、アーカイブとして未来へ残すことを目的に、“佐賀の祭り”という映像コンテンツを制作していました。面浮立・天衝舞浮立・多久聖廟の釈菜・小城山挽祇園祭・沖ノ島詣りなど、たくさんの祭りを撮影させていただきました。大学を退職後、私が制作したそれらの映像がどう活用されているかは分かりませんが、コンテンツ制作を通して、とても良い経験をさせていただきました。今後も、個人的に『肥前見聞録』として各地の祭りを記録していきたいと考えています。
さて、小友祇園祭の話に戻りましょう。この日は写真と動画を撮っていたのですが、祭りの撮影が久しぶりということもあり、なかなか感覚が戻らず・・・。良いアングルや撮影ポイントに付けず、ベストショットを撮り逃してしまったり・・・。動きも悪くて何度か邪魔になりそうになったりしてしまいました。後々Twitterとかを見ていると、他の方の写真や動画に結構映り込んでいました。(スミマセン。)やはり現場の空気を感じることは大切ですし、できるだけ現地に足を運んで、“見る目”と“感じる力”を取り戻さないといけないですね!
祭りのクライマックスで、山笠が海に入っていく様子は衝撃でした。山笠を曳いて走ったり回転させたりするのは、他の地域でも見たことはありますが、海中を練り歩くのは見たことがありません。港町の祭りならではの特徴かもしれませんが、圧巻の光景でした。まさに『海を渡る山笠』。ぜひ一度は見にきてください!
夏真っ盛りの非常に暑い中でしたが、久しぶりに祭りの雰囲気を味わえて、とても楽しかったです。3年ぶりの開催ということもあってか、観客の数も多かったようで「今年は前より観客多かね〜!」という引き手さんたちの会話が聞こえてきました。まだまだコロナの影響が残っているため(逆に増えてきていますが…)、祭りを開催するかの判断は地域によって異なるようです。同じような山笠祇園祭でも中止になっている地域もあります。できるだけ多くの祭りを見に行きたいと思っていますが、まずは感染対策をしっかりとしてから、足を運びたいと思います。
次回は唐津市浜玉町の「浜崎祇園祭」の様子をお届けします。
[肥前見聞録] T.Kawamichi